「よってこっと」

地域活動訪問レポート
地域活動訪問レポート

藤棚一番街の中ほどに、キリンが描かれたピンク色の看板が目にとまります。“パン・クッキー・コーヒー・雑貨 よってこっと”。足を止めて、中を覗いてみたくなるお店です。
店先には“焼きたてパン”の旗や案内板。どこか素朴で親しみのある佇まいです。

店内に入ると、木のぬくもりに包まれたあたたかな空間が広がります。
「こんにちは」と声をかけると、「いらっしゃいませ!」という元気な声が返ってきます。店内には優しくて穏やかな空気が流れていました。

この“よってこっと”は、障がいのある人たちが働く“ショップ型”の事業所です。施設長の池田さんやスタッフさんにお話を伺いながら、お店の魅力を案内していただきました。

もともと西区地域活動ホームは、1988年に“浅間台あしなみ作業所”としてスタートしました。その後、現在の拠点へと移り、小型家電の解体や、くじ折り・機織りなどの、さまざまな作業に取り組んできました。2005年からは横浜市の生活支援事業も開始しました。やがて作業スペースが手狭になったことをきっかけに、新たな働く場づくりが検討され、2011年5月、地域のなかで働き、地域とつながる拠点として誕生したのが“よってこっと”です。

店内中央の喫茶スペースでは、コーヒーやケーキとともに思い思いの時間を過ごす人の姿。棚に並んでいるのは、焼きたてのパンやクッキー、布や木のぬくもりを感じる雑貨たち。これらの商品は、“よってこっと” だけではなく、市内のさまざまな事業所で作られたものです。「事業所のアンテナショップでありたいんです」そう話す池田さん。ここには、市内の福祉事業所で作られた商品と、それを手に取る人たちをつなぐ役割もあります。

また、レンタルボックスでは地域の作家さんたちが作品を販売しています。小さな店内のあちこちで育まれる、地域とのつながり。

本棚には約350冊の絵本が並び、その整理や入れ替えは利用者さんたちの担当です。親子で絵本を読む姿が見られる他、読み聞かせイベントが開かれることもあります。地域の人たちが気軽に立ち寄り、ゆったり過ごせる場所にもなっています。

“よってこっと”ならではの魅力は、地域との心の近さです。
店頭での接客だけではなく、近隣施設での草取りや花壇の水やりなどの活動にも取り組んでいます。地域の方からかけられる「ありがとう」の一言が、利用者さんの大きな励みとなり、次の仕事への意欲につながっています。

お店では、利用者さんが当番制で接客や仕入れ、開店準備などを担当しています。手順書を確認しながら役割を分担し、それぞれが自分の仕事に取り組む毎日です。
自分たちが関わった商品が売れ、お客様に喜んでもらえることも大きなやりがいのひとつ。働く喜びや、自信を育む場にもなっています。

一方で、運営には課題もあります。
開設から15年経った今でも、「長くこの近くに住んでいたのに知らなかった」と言われることがあり、さらなる認知度向上の必要性を感じているそうです。
また、手ごろな価格のパンであっても、思うように売れないこともあります。商品数や営業時間に制約がある中で「安いとかえって手に取ってもらえない」といった難しさも抱えています。

それでも、15年にわたり地域と向き合い続けてきたことで、理解は少しずつ、着実に広がっています。以前はお店のことを説明しなければ利用につながらなかったのが、今では活動内容を理解したうえで訪れる方や、繰り返し足を運んでくださる方も増えてきました。

現在は呼び込みに力を入れるのではなく、お一人おひとりとの出会いや会話を大切にしながら、地域に根ざしたお店づくりを続けています。利用者さんの中には、子どもの頃から地域との関わりの中で育ち、今では地域に貢献する側として活躍している人もいます。人と人とのつながりが、次の世代のつながりを生み出しているのです。

「これからも、地域とのつながりを大切にしながら続けていきたいですね」池田さんはそう話します。子どもや新しい世代にももっと足を運んでもらい、さらに地域の輪を広げていきたい。そんな思いが伝わってきました。

「あそこによってこっと」
そんなふうに気軽に思い出してもらえる場所でありたい—それが“よってこっと”の願いです。
藤棚一番街を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。おいしいパンやコーヒーはもちろん、人と人とのあたたかいつながりが、あなたを迎えてくれます。

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